レンブラント(Rembrandt van Rhijn)1606-1669
レンブラントの歴史絵画の特徴
- 聖書やオイディウスに取材したテーマ
- クライマックスの直前を描いている
- 様々な物語・ナラティブを示唆する絵画から、場面のドラマを強調するものへ変遷
- 単純化と物語のエッセンスへと主題を集中させることにより、ドラマを演出する
- 聖書の人物へと、レンブラントは自己同一化を進めていった
- 人物の感情や心理に焦点をあてる
- 過去や現在の偉大な芸術家と競争した
ピーター・ラストマンからの影響
- 色彩豊かな絵から出発
- 人物は暴力的なジェスチャーをしている
- 三角形を用いた構成
- 人物は演劇的に描かれる
ユトレヒトのカラヴァッジョ派からの影響
- 垂直的な構成
- 茶色や白い色彩が、明るい色彩にとってかわる
- 強い斜めの線
- 脇役は、影の中に潜ませる
- 素早く、かつ繊細な筆さばき
ルーベンスを研究、影響を受ける
- 物語のターニングポイントを描く
- アクションとリアクションを描く
- 強い斜めの線によって密度が高められるドラマ
- 感情を外側に出す人物たち
- 小さい部分は、なめらかで継ぎ目ない手法によって、広い面については、幅広い筆使いで描かれる
- ドラマに満ちている。登場人物は影に隠れている。
- ヒロイックではなく、リアルに描かれた、血肉を備えた人物達
- ルーベンスの版画から学んだ
- 1636年
- 踵と足が斜めの線を形作っている
- 光と影のコントラストがある。
- スポットライトが使用されている
- 赤、青、黄色という三原色による色彩構成
- 強い感情表現、暴力的なジェスチャー
- 幅広いブラシストローク
1642年
- 自分自身の画風を生まれ変わらせた時期
- 内面的な絵画
- 原色が使われている
- 強いスポットライト
成熟期(1642-1669)
- シンプルな構成の中でドラマを提示
- 物語の転機を描く
- 間接照明の使用
- 場面のうちの一部分をしか描かない
- わずかな動作しか要求しない、親密で内面的なドラマの瞬間を描く
- ジャンルを越境した
1642-50 ラファエルからインスピレーションを受ける
- 歴史画はほとんど描かなかった
- アムステルダム近郊で、風景の写生をした
- 単純化による調和、強いジェスチャーは消失
- 輝くような鮮やかな色彩。特に深紅を使用
- ある物語のメインキャラクターに焦点を当てて描き始める
- 親密な雰囲気を持つ、家族の場面を描いた
- 水平方向と垂直方向のバランスを取った。それまでの斜め線強調とは違う。
1646年
- 日常的な家族生活の場面。
- 背後で大工が作業している。これはヨセフ。
- 17世紀の人々に服装をした、聖家族を描いている。
- 照明は、絵画の画面の内側から来ている。
- 親密さの雰囲気にあふれている。
- 歴史画と肖像画、宗教がなどのジャンルを超えている。
1650-1660 ティティアンとカラヴァッジョから影響を受ける
- 一人か数人の人物に焦点を当てて、物語をそのエッセンスに絞る
- 限定された空間と背景。ただ暗い洞穴のような背景であり、人物達は前面に描かれている
- 鑑賞者を絵の中に関与させる
- 暖かい色使い、
- 静かな雰囲気
- 人間的ドラマを描写する主題
- ジャンルの境目を越境している
- 絵具を厚塗りし、キャンバス表面に彫刻するかのよう。
- 極端に幅広い筆使い
- 絵の一部分は、未完成なままになっている。
1654年
- 幅広く粗い筆使い
- 描き方は時に薄く、絵具を厚塗りする
- ブラシ、パレットナイフ、そして筆の先端を使用している
- 描いている対象のテクスチャーを写し取ろうとしている
セザー・ヴァン・エヴェルディンゲンとレンブラントの比較
Ceasar van Everdingen
- レンブラントの人体構造は解剖学的にぎこちなく描かれている。(特に脚)
- レンブラントは、活きた皮膚を描く。大理石の彫刻のような質感にはしていない。
- レンブラントは、傷つきやすいヴァルネラブルな人間を描く。ヒロイックではない。
- 鑑賞者は、絵画の中の人物と自己同一化できる。匿名的な人物像ではない。
1660-1669 カラヴァッジョに影響を受けた晩年
1660年
- ゆるく、超然と構えた構成(そんなにきっちり構図を立てていない)
- 多くの絵が未完成のままに見える
- 鋭い輪郭は避けられている
- 人物は、背景に溶け込んでいくかにみえる
- 深い赤と、黄色が目立つ
- 3Dとして立体的に、見るものの前に出現しているように見える